母が昔着ていた着物で母のためにハーフコートを作ってみたい

父が亡くなってから寂しそうにしている母に少しでも元気になってもらいたい…。そんな願いがありました。

薄い黄色とオレンジがお日様を思わせる古い小紋の着物。母が昔着ていた着物で母のためにハーフコートを作ってみたい、そう思いつきました。

洗い張りに出す前は、かなり黒ずんでいましたが何とも美しい色と柄がよみがえりました。

子供にとってお母さんは太陽のような明るくてなんでも受け入れてくれるそんな存在。

どんなに年齢を重ねても、やはり母にはいつもお日様のような笑顔でいてほしい。そんな願いで製作しました。

薄いうぐいす色の長襦袢は、母が昔着ていた付け下げに合わせた長襦袢。

こちらも洗い張り前はこの状態でしたが、手に取るとそのシルクの肌触りと光沢はときめきを感じさせてくれるものでした。

着物の内側に着る長襦袢はブラウスにぴったりの素材です。

ハーフコートの下に合わせるブラウスに決めました。

着物をほどくところから水洗いして下さる「洗い張り」で仕上がった反物はまるで新品。うっとりするような美しさに溜息が出ました。

高齢の母には、年齢の出る首元がかくれるデザインでレトロで可愛いブラウスに。

お正月に帰省した際に仮縫いをしたのですが、母のひ孫にあたる男子が仮縫いの様子を見に来て「おっきいばあばが、東京で着る服素敵だよ!」と言い放って逃げて行ったのが私的には嬉しかったです。

「年だから恥ずかしい…」と言いながらも、とびきりの笑顔で写真に写ってくれました。ヘアメイクさん、カメラマンさんに心から感謝です。

日本人が自然を愛する気持ち、物や心を大切にする想いは世界に誇れるものだと感じています。

着物リメイクを通じて沢山の方々の笑顔や繋がりを形にできますよう、アトリエでは日々工夫を重ねながらものづくりをしています。