21歳の花嫁のために揃えた黒留袖

おしゃれが好きで装うことにこだわりのあった祖父と父が、21歳の花嫁(母)のために揃えた花嫁衣装の黒留袖。

華やかな江戸褄模様が、花嫁の夢や希望を高めたその気持ちが手に取るように感じられ、母の花嫁衣装を見せてもらったことが、婚礼衣装の尊さを改めて身に染みるように感じるきっかけにもなりました。

嬉しそうに咲くお花や、山や波を表したような模様に、花嫁にこれから訪れる人生の山や波を感じさせました。

着用する姉に「どんなドレスにしたらいい?」と相談しながら「着物の柄が生きるようなシンプルなもの、そして長く着られるような飽きのこないデザイン」に決定しました。

その中でもこだわったのは、なで肩の体型の姉がドレスに負けないように、ネックラインを綺麗に見せること。

肩のしっかりあるデザインでは、なで肩が強調されてしまうので、あえてドレスで覆わずにお肌を見せるカットにし、シンプルなデザインの中にもデコルテラインの美しさが際立つように心がけました。

袖口に向かい緩やかに広がったラインと袖口のスリットで柔らかさを出しました。

長い間タンスにしまわれてあった母の大切な花嫁衣装が生まれ変わりました。

父が亡くなってから生きる自信を失いかけていた母ですが、自分の人生の一部でもあるような大切な思い出の着物が生まれ変わったことで、母の内側からの活力が沸いたような変化を、家族で感じています。