母の若い頃の帯のくすみピンクの色のお花とシルバーの光沢に一目惚れした帯。
(洗い張り・前)です。
「帯も洗い張りできますよ」とおっしゃってくださった職人さんSさんのお言葉通り、長い時間眠っていたとは思えない輝きが戻り、目を見張るような美しさに仕上げていただきました。
(洗い張り・後)
着物や帯など、平面や直線の美しさを基調にした日本の美。
和服は統一されたデザインですが、着付けや着こなしで個性が出せるもの。
一方立体的に作られた洋服は、着るだけで体型を美しく見せられる効果が出やすく気楽に着られるのがメリットです。
着物が持つ平面や直線美を体の上で美しく活かすには、立体的な構築が決め手になります。
ドレスは、バストやウエストなど部分的に曲線(なめらかなカーブを描く)を強く意識することが垢抜けた印象になる秘訣です。
直線だけの構造では体になじまず、体型を美しく魅せることができないからです。
帯の固さを生かしてビスチェドレスの身頃(ボディ部分)に用い、「全てが着物地でなければ…」という思い込みも外し、スカートはあえて広幅のイタリア製のシルクシャンタンを使いました。
着物の素晴らしさは、シルクの素材が上質なだけでなく女性らしい模様の優美さにもあると感じています。
また、日本人の自然を大切にし調和する感性や豊かさが、着物という衣装の中に込められているのが伝わってきます。
世界に誇れる日本の美しさや美意識を大切にし、着る人を最高に引き立てるドレスにリメイクしています。