母方の祖母が昔々に着ていた小紋の着物と羽織りで、姉のためにツーピースとボレロを作りました。
母に着物リメイクをやりたいということを初めて伝えたときに、たんすから色々と出して見せてくれて姉と一緒に思わず声を上げて喜んだのがこの着物。
決して派手さはないけれど、シックな小紋の色と柄で大正ロマンのようなさり気なさと可愛いさに心が踊りました。
袖下の部分にだけ緋色の赤がアクセントに効いているところもおしゃれ!!
何気ない植物の柄だけれど白抜きされた部分に少しだけ水色が入っているのも素敵。
興奮する私たちを見て母は嬉しかったようで、この時に今まで聞いたことのない子供の頃の思い出話を語ってくれました。
お嫁に来てから色々な想いがあった時も、この祖母の着物が心の支えになっていたのだと伝わってきました。
祖母が上の小紋に合わせて着ていたという羽織り。紫色に米粒みたいな模様がとってもチャーミング。
かなりの経年で汚れた部分があったりしましたが、洗い張りをしてくださった職人さんのお力で、すっきりと気持ちよく仕上げてくださり、古い古い着物(おそらく100年くらい前の着物)が美しい反物によみがえりました。
そんな腕のいい職人さんとご縁が頂けたことにも心から感謝しています。
祖母の羽織を見た瞬間、この羽織の袖を思わせるようなデザインにしよう!そう思いつきました。羽織の素材のクタッとした柔らかい素材と袖のシルエットに一目惚れしたからです。
偶然にも、この着物を見せてもらった次の日、母の兄が母を訪ねてきて「兄妹も二人だけになったな…まだまだがんばろうね」とお互いに言い合えたことが励みになり、父のことで長いあいだ気を落としていた母が、久しぶりに心からの笑顔を見せてくれたことが何よりも嬉しい出来事でした。
姉とは「ゆうべの着物を出したことをおばあちゃんが喜んでくれたのかもね」と目に見えない力を感じずにはいられませんでした。
この話を弟にも伝えたら、この時撮った母たちの写メをプリントしてくれて母のいつも目につくところに飾ってくれたみたいです。
祖母が着ていた着物に敬意を込めて、緋赤の布を襟ぐりと袖口のアクセントにしたツーピースを見て、母も「あれー!!すごいねー」と珍しく真剣な顔で感激してくれました。
自分のルーツが与えてくれるパワーが宿る、そんな着物リメイクをやってみたい…。そう願って始めたリメイクですが、想像していた以上に目に見えない力が働いてくれているのを何度も感じました。