母の大島紬の着物と羽織り

母が30代の頃に着ていた大島紬の着物と羽織り。

古い着物ですが、腕の確かな職人さんが洗い張りをして下さって、イマジネーションが広がりました。

日本の和服のデザインといえば左右を前で重ね合わせた首元のVラインが美しさの源。そのVの字を生かしたワンピースに仕立てました。

大人のためのパフスリーブは、肩先にギャザーを入れず、あえてラグランスリーブにすることで機能的にもデザイン的にもこだわりのポイントに。

袖口にはたっぷりのギャザーを入れてメリハリのある甘さを表現しています。

シックな色と柄の大島紬は、繊細さと力強さのある魅力的な生地ですが、暗めの色のトーンから少し落ち着いた重たい印象になりがちです。

そこで大胆にスリットを入れ差し色のブルーグリーンのほのかに透ける生地シフォンジョーゼットをスカートに使用することで抜け感を出し、軽やかさをプラスしました。

後ろの襟ぐりは和服がそうであるように、開き過ぎない控え目なカットにすることで、寒さや空調の風などから保護する役目も果たします。

あくまでも大切に想う人のためのリメイクにこだわり、モデルさんではなくあえて家族に着てもらうことに決めていた撮影。

着用してくれたのは姪。母も着物が生まれ変わったこと驚きながらも、孫の着こなしぶりを喜んでくれました。

思い出が詰まった大切な着物が、着る人を最高に引き立てる洋服やドレスに生まれ変わる着物リメイクを行なっています。

アクセサリー制作・Miyuki Abe