母のかすり柄の着物を姪のドレスへ

母が30代の頃、普段使いに着ていたウール地のかすり柄の着物を見た時

「これを現代風のファッションにして素朴な暮らしをしていた日本人の心を今によみがえらせたい」そう思って手がけたドレスです。

この着物をどんなドレスにしたい?と姪に相談しながら決めたデザイン。

「すっきりしたラインのスカートで、できれば少しマーメイドになってたら嬉しい」とのことで、それ以外はお任せで作りました。

ベージュの長襦袢は肩を覆うショールに。

胴裏(肌につく裏地)の赤い木綿で胸元をトリミングし、アクセントにリボンもつけました。

「ものや心を大切にしたり、日々のささやかなことに喜びを感じたり、自然と調和して生きることを当たり前に感じていた昔の日本人の感性を今を生きる私たちも忘れたくない」という願いを込めて作ったドレスです。

ふるさとの青森市にある三内丸山遺跡では、以前樹の皮で編まれたポシェットが出土し話題になりました。

三内丸山遺跡を見た時に感じたことは、縄文時代の暮らし(約5,900~4,200年前)と私たちの祖父母の時代までの暮らしは、決して切り離されたものではないということ。

縄文時代の人たちは栗の木で祭祀用の建物を作りましたが、私の祖父も栗の木で小さな休憩小屋を手作りしました。

数年前に取り壊してしまいましたが、私の子供の頃の一番の幸せの記憶は、その休憩小屋で母とお昼寝をしたこと。

なんとも風通しの良い包まれたような空間と、小さな窓から差し込む光。その居心地の良さは他に例えようのない安心感でした。

縄文時代から続く平和的でクリエイティブな日本人の感性や暮らしに敬意を込めて、かすり柄の着物地でポシェットも作りました。

たくさんの笑顔のためのドレス作りは、本当に多くの方々に支えられて成り立っています。

今までも、そしてこれからもお仕事が続けられるのは、支えてくださる周りの方々やお客様のおかげ、そう感じずにはいられない日々に心から感謝があふれます。

アクセサリー制作 Miy