声楽家のM様が、妖精のような黒のビスチェドレスをお持ちくださいました。
まずは、ふわふわした腰の飾りを取り外してスッキリさせたいというご依頼です。
その次に「何かこのドレスのイメージを変化させる方法はありますか」とご相談いただき、黒いレースのボレロをご提案させていただきました。
それからは、M様とのコラボレーション、お互いにアイディアとご希望が交差して、ワクワクが広がりました。

おっしゃる通り、後ろのふわふわしたチュールは、妖精の羽のように見えて素敵ですが、せっかくのボディラインを包み隠してしまいますね。

お預かりした際にドレスチェックをさせていただいたところ、スカートの裾にチュールの破れが数箇所見つかり、一緒にメンテナンスさせていただきました。

チュールの飾りを外したドレスは、バストとウエストのラインがくっきりと描き出され、より洗練された大人の女性らしいものに仕上がりました。

後ろ姿もシンプルで可憐なイメージになりました。

裾の破れは表側ですが、原因となる内側の裏地やインナースカートの丈も調整し、歩きやすくヒールに巻き込みにくい工夫も施しました。

ボレロ制作は、お直しが仕上がったドレスをボディに着せつけて、立体裁断を行いました。

M様の優しく柔らかい雰囲気が生きるように、ボレロのラインも自然体でありながら優美な印象になるものを求めました。

首のラインに沿って少しだけ立ち上がるようにすることでエレガントさを強調。

立体裁断を行なった木綿の布にチャコペンで印をつけ、紙の上で製図を引いていきます。

地道な作業ですが、立体裁断で出した微妙なニュアンスを現実に落とし込む、肝心な工程です。

布の印を写しながら、なめらかな線につないで寸法上の辻褄も合わせ縫製しやすい型紙を作ります。

ミシンで布を縫い合わせ、形にしていきます。

M様にお越しいただき、ボレロの仮縫いを行った後のパターン修正もまた、とても重要な工程です。
仮縫いは、サイズをピッタリ合わせるだけと思われる方が多いのですが、サイズの調整のほかにも、着心地の良さを高めたり、より美しく見せるための工夫を、細部にわたってアドリブで行うライブのような緊張感があります。


実際の生地のフランスレースには、M様のアイディアで美肌に見えるよう生成色のオーガンジーを裏打ち布に使用しました。

ドレスお渡し後に
「先日の黒いドレスで椿姫を歌いました。舞踏会場面でしたがボレロがとても上品で良かったです。ありがとうございました」とおっしゃってくださったM様。

いつも嬉しいお言葉をありがとうございます!!

素敵なM様のステージのためのお手伝いをさせていただきまして、本当にありがとうございます。

M様の今回のドレスにつきましては、リール動画も制作させていただく予定です。もう少しだけお待ちください*


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