オーダーしたものは、サイズが変わったら着られなくなるの?

立体裁断で自分のサイズで洋服を作った場合「太ったり痩せたりした時にすぐに着られなくなるのでは…?」

とご心配されるお声をよくうかがいます。

確かにぴったりフィットしたものは、「サイズが変わったら着られない」と思うのが自然な発想ですよね。

フランス語で「スープレス」というのは日本語でゆとり分量のことを示します。

立体裁断で作る洋服は、ピタピタに体に沿わせるのではなく、このスープレス(ゆとり)があることで着心地が良く動きがしやすい洋服になり、体型カバーもしてくれますから、サイズが多少変わってもすぐに着られないということがありませんのでご安心ください。

(写真は、着物の八掛・裏地部分を使いリメイクしたメンズシャツ)

専門学生だった頃、自分サイズに合わせて仮縫いしてもらい作った洋服がちっとも素敵に見えないし、着心地にも違和感があったのか…。

日本の洋裁では、このゆとりの分量をトータルの寸法だけで足してしまい、必要な箇所に必要な分量が足りなかったため違和感があったということが、立体裁断を通じて分かったことでした。

フランスの洋服作りで最も大切にされるスープレス(ゆとり分量)は、ドレッシィなデザインの場合、カジュアルなシーンの場合、作業をすることが多い場合など、運動量に合わせて手加減で入れていきます。

用途に合わせて程よいゆとり感を持たせながらも、スッキリとしたラインを出せるのも立体裁断の醍醐味。

これが正解という答えがないけれど、素敵に見えるシルエット(美しさ)と機能性を兼ね備えられるラインを探るのも立体裁断を行う喜びです。

そしてゆとりがあるのにブカブカに見えないのは、立体裁断を行うときに布を重力で落ちる力(ハング)を利用しているから。

まず人台(マネキン)に布を垂らして、それが垂直に床に向かって綺麗に落ちること🟰ハングすることを第一に意識して作るからです。

その時点で布が素直に床に向かって落ちなければ、どこかが抵抗していて、歪んでいる証拠。

ハングしない場合は何が原因かを探り、布を重力によって落とすことを前提をして作っているからこそ、着痩せしてすっきりとしたラインが出せるのです。

立体裁断をしたドレスを試着されたお客様が「この鏡、細く見える鏡ですか?」とか「なぜか3キロは痩せて見える!!」とよくおっしゃってくださるのも、布が重力によって落ちる(ハングする)ことですっきりと見せてくれているのが理由です。

ゆとり分量は、「こういうシーンで着たいので動きやすく」とか「少しでもスリムに見せたい」とか「今後ダイエットする予定がある」とか、「多少サイズが大きくなった場合でも着られるように」…などとリクエストがあればお応えすることもできますから、サイズ感にご心配がある場合は、お気軽におっしゃってください*