咲いたばかりの花のように

ちょうど桜のシーズンにステージに立たれる声楽家のM様よりお花のドレスをお預かりしてお直しをさせていただきました。

サイズが調整できるように後ろを編み上げにすることと、ドレスと共布のショールで何かアレンジできませんか…というご相談でした。

ドレスをフィッティングしながらお話を伺い、ショールの透明感を活かして短めのお袖をつけるご提案をさせていただきました

元々は、後ろをファスナーで開け閉めできるデザイン。

サイズ調整しながらもクラシカルで可愛らしいポイントにもなる編み上げは人気の高いお直しです。

どのくらいの余裕を持たせるか、フィッティングで決定したサイズを仮縫い用のコットンを使い、必要な持ち出し寸法を決めていくのがポイント。無駄なくかつよりフィットした曲線を描き出します。

ドレス本体がサテンとオーガンジーの重ね。

全く同じ色は探すことができませんが、近い色の布を探してご用意することも大事なお仕事です。

今回のベビーピンクは比較的入手しやすい色でしたが、それでもいざ色合わせをしてみると迷う部分もありました。結果ほぼ違和感のない色に出会うことができて良かったです。

滑らかなカーブはシルクピンで優しくおさえます。

中世の絵画の中のドレスにも出てくるくらい歴史のあるパーツは、布の持つ安心感からか、乙女心をくすぐりますね。

小さなお袖に使うショール部分も、立体裁断で型紙を作り、ドレープの表情にもこだわりました。

ちくちくと縫う作業は、走るようなスピードは出せないものの、心をこめることができる場面です。

お直しやリメイクで生まれ変わり、お客様に喜んでいただけることが何よりも喜びです。

仕上がりにお袖を通してくださったM様が「サイズが合わなくなったドレスでしたが、これで安心して着られます!!」とおっしゃってくださって嬉しく思いました。

胸元にあったワンポイントのお花は取り外して、お袖のドレープを見せるシンプルなデザインになるようなご提案もさせていただきました。

外した大きなお花はウエスト部分のポイントにして、流れるようなスカートのラインを出し、縦のラインが強調されました。

お花もメンテナンスさせていただき、大輪のコサージュが、まるで咲いたばかりのお花に見える仕上がりにさせていただきました。

後ろの編み上げに通すリボンも、ほどけにくく上質なシルクサテンでよりエレガントな仕上がりになりました。

フィッティングとお引き取りにいらしてくださったM様のご近所のイチゴ農園で採れたての紅ほっぺという苺をいただきました。

驚くほど甘くて味の濃い苺、味わっていただきました。

大切なドレスをお任せくださり、またいつもお心遣いをいただきまして本当にありがとうございます。


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