ウエディングドレスのリメイク・下ごしらえ

お客様のH様からお預かりした大切なウエディングドレスは、しっかりと縫製されたミシン目を丁寧にほどくところから始まります。

手縫いで甘く仕立てされる日本の着物と違い、ミシン目は固く細かいので慌てずに落ち着いてほどくことが求められます。

シルクもレースの飾りもしっかりとつけられていましたから、一本一本の糸をじっくりとほどきました。

ほどき終わったら、リメイクに使用できる布の分量を把握してデザインを決定、立体裁断にてパターン(型紙)を作り、仮縫いを行います。

デザイン決定やパターン制作と並行して、白いウエディングドレスの染色も行いました。

染色は、私たちのアトリエのコサージュ職人が担当しています。

普段は、コサージュを作る分の40cm角くらいの大きさの生地を染めるのですが、その何倍もある量のドレスの生地を染めるのは大きなチャレンジでもありました。

白いドレスが明るいネイビーに染まっていく瞬間。ドキドキしました。

お鍋もお水を入れたら運べなくなるくらい重たい、大きな寸胴鍋です。

染色している間、お箸でかき混ぜるのもお腹の底からの力がいる仕事。かなりの力仕事なのだということを感じました。

ちなみに余談ですが、コサージュ職人のお父さんは革職人、お祖父さんは浴衣の染色を仕事にしていたそう。職人気質は根っからの遺伝的なものと思われます。

上質なシルクのドレス生地もふんだんにあしらわれていたレースも綺麗に染まりました。

一枚一枚のレースの形を整えながらアイロンをしていましたら、H様のドレスの豪華さと華やかさと共に、たくさんの方々に祝福されたご結婚式のお慶びのご様子が目に浮かびました。

洗いざらしのシルクの風合いはナチュラルですが、気品あるドレスになるように、納得の行くまでスチームアイロンとドライアイロンを交互に繰り返しました。

長い年月眠っていたウエディングドレスは、H様と旦那様のご希望のブルーに染まり、静けさを感じさせる波のような美しい布地に息を吹き返しました。

H様のリメイクドレスの仮縫いには、旦那様と親しいお友達も立ち会ってくださり楽しい会話がはずんでアトリエも賑やかな雰囲気になりました。

中でも、この小さな小さなくるみボタンがブルーに染まったのをご覧になられた時の皆さんの盛り上がりが忘れられません。

一般的にドレスに付けるくるみボタンは、10ミリから14ミリが多いのですが、H様のインポートドレスのボタンは8ミリ。この小ささとボタンの数の多さがたまらなくキュートでした。

「神は細部に宿る」という言葉がありますが、この一つ一つの小さなこだわりが込められたウエディングドレスに、新しい命を吹き込むドレスリメイクをさせていただけることに改めて感謝しています。

仕上がりも楽しみになさっていてくださいね*


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