一枚一枚手でカットした花びらを、湿らせたキッチンペーパーの上に置き、重しを乗せ、ここでまた2時間ほどおきます。
乾かすときも、湿らせる時もあえて時間をかけて、機械を使わないのは、あくまで自然の風合いを大事にするフランスの考え方ではないか…と想像しました。
フランス人が女性の美しさを語るに「ナチュール」自然体であることを一番重きを置くのにも似ている気がします。
立体裁断を学んだ時も、シルエットを作り出すときに布の流れがナチュールであるかどうかが問われました。
コサージュ作りの花びらにコテを当てる時に、湿らせる工程もなるべく自然な表情が出やすいように、ゆっくりと時間をかけて均等に湿り気が行き渡るようにという意味が込められているように感じます。
ここでまた驚いたのは、アルコールランプで温めたコテの熱を確かめるのは、ボウルに張ったお水がジュッとなる音で判断すること。
仕事上、眼を使って判断することには慣れているのですが、耳を注意深く使うという感覚を使うというのは、火を使う仕事の特徴かも知れないですね。
反応するジュッという音が大きすぎる時は、布が焦げてしまうので、何度か水につけて少し冷まし、また音を確認して進める。音が小さい場合にもきちんとした成形ができないコサージュになってしまうので、理想的なジュッを聞き分けることが、難易度の高いコテあての第一歩。
耳を澄ませ、感度を高め微妙な差を感じ取ってやっとわかるくらいの違いですが、コテ当てには欠かせない大切な感覚です。
鉄ゴテの正しい温度が聞き分けられるようになったら、それぞれの大きさに合ったやり方でコテを当てて、必要な丸みを出して成形していきます。
次回は、いよいよ完成までの工程をご案内させていただく予定です。
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